キリムに魅せられて
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キリムとはトルコやその周辺、西アジア一帯の遊牧民によって使われ、受け継がれてきた実用的な手織物。
私がキリムと出合って、そろそろ2年くらいになるだろうか。
遊牧民の女性が家族のために、自分のために、何年も何十年も掛けて手織りしたキリム、その独特の色使いや文様は1枚1枚異なり、ひとつとして同じものはない。
風のように生きる遊牧民たちは、家畜とともに移動しながら、原毛を紡ぎ、草木などからとった染料で糸を染め、母から娘へと継承されてきた技法を用いてこのアーティスティックで色鮮やかなファブリックを織っていくのである。
キリムに織り込まれたモチーフには夢や願い、喜び、家族に対する愛、そして自然への畏敬の念など、名もない女性の秘められた想いが込められている。
私が感じるキリムの魅力は、それらが醸し出す、ロマンやドラマ性みたいなところだろうか。
キリム1枚から、織り手の表情や息遣いさらにはその人を取り巻く風景までもがイメージでき、それと同時に様々なイマジネーションをもかきたてられてしまうのだ。
キリムを通して感じる織り手の感性や自由な発想、想像力は驚嘆に値する。
商業生産されたものとは違い、普通の女性が家族のために織ったものだから、突然色が変わっていたり、モチーフがアシンメトリーに織られていたりすることも珍しくない。
キリムを織っている最中に何か彼女の転機になるようなことがあったのか、微妙な心の変化が現れているのか、何かの願掛けなのか、考えれば考えるほど不思議。
それともただ単に糸がなくなってありあわせで済ませただけなのかもしれない。(笑)
しかし、本当の意味は織った本人にしかわからないのだ。
明らかに途中から織り手が変わったとしか思えないような織りのパターンの変化に驚いてもみたり・・・
かつては1枚のキリムだったものが財産分与などで分けられ、別々のところに渡っていき、何年も何十年も経ってから、まためぐり逢うというようなこともあるのだ。
見る人の心を和ませ、気持ちまで癒してしまう不思議な魅力のあるキリム。
せわしない日々の雑務に追われて疲れた私は、今日もキリムを眺め、イマジネーションの翼を広げて英気を養うのだ。
トルコから海を越えてやってきた、リビングルームのボルドー色のキリム。
産地・シヴァス
4カナット(4枚はぎ)オールドジジム
年代・1950年代
敷いて使われず、壁に掛けて使われていたため、ダメージはほとんどなく、状態も良好。
中央につけられた房は、ナザール(嫉妬や悪意の目から身を守ると言われている、トルコのお守り)
ダイニングルームの一角の読書スペース。
床に敷いてあるキリム/産地・コンヤ
椅子の上に敷いてあるものはへイベ(ラクダやロバの背に掛けて使う収納袋)/産地・シヴァス
年代・いずれも1950年代。
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